2011年12月25日日曜日

(1321)読了62冊目:宇宙樹の森

  標記の著者は吉田敏浩、副題は「北ビルマの自然と人間の生と死」、1997年11月・現代書館発行、241頁、2200円+税。著者は今回と同じくカチン州とシャン州の長期取材による著書「森の回廊」があり、96年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している。今回は生々しい人間関係など一切表に出さずに、同じ旅で出会った樹木、動物、焼畑、鉄、民家、食物、文様、歌と踊り、伝説、精霊など、個々のテーマついて書き上げ、自然と人間の繋がり、あるいは人と草、樹、虫、魚、鳥、獣の生き死ににおける結び付きを描いている。著者は密林の中で巨大なラガット樹を見たが、マラリヤに罹ったとき、幻想で月の中のラガット樹を見た。このような巨木が万物の基、すべての生物の母になっていると考え、表題を「宇宙樹」と名づけた。私は人間が主人公でないこのような小説を読んだのは初めてだが、考えさせられた。

2 件のコメント:

  1. 「宇宙樹」とは気宇壮大で、すばらしい発想ですな。
    K.A.

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  2. k.a.さん
    「宇宙樹」という言葉は作者の自然に対する気持ちを良く表した言葉だと思います。我々凡人には発想できないな。(N)

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