2017年2月28日火曜日

(3219)強姦、略奪、そして暗殺、ミャンマーでは今何が起きているのか①

 講談社発行「現代ビジネス」2月28日号より。スーチー氏が実権を握る新政権がミャンマーに誕生したのは昨年春のこと。国民はスーチー氏に大きな期待を寄せ、各メディアはノーベル平和賞受賞者の勝利を称賛を持って報じた。あれから1年、国民の熱狂は徐々に冷め、ラカイン州の少数民族イスラム教徒ロヒンギャに対する人権侵害で、スーチー氏の口をつむぐ姿勢に国際社会の視線は厳しさを増す。同政権は早くも窮地に立たされている。昨年10月9日、ラカイン州の国境警備隊の詰め所が武装グループに襲撃され、警察官9人が死亡した。ミャンマー国軍はロヒンギャの過激派によるテロとみなし「掃討作戦」を展開。千5百軒を焼き払い、6万9千人がバングラデシュ側に逃れた。「ヒューマンライツウオッチ」の調査によって、強姦、強奪の生々しい状況が報告された(続く)

2017年2月27日月曜日

(3218)「スモッグから逃れたい」北京市民、ミャンマーとの国境近い雲南省で住宅購入急増

 2月4日のRECORD CHINA誌より。2017年2月1日、香港英字紙はこのほど深刻なスモッグ被害が生じている北京市民の間で、ミャンマーやラオスの国境に近い雲南省深南部にある不動産業者は、シ―サンパンナで住宅を購入する人が増えていると報じた。不動産業者は「昨年12月と今年1月に2度も大規模スモッグに見舞われたことで、問い合わせや購入が急増している」と話す。その7割が北京市民で、多くが「今すぐ欲しい」という人たちだ。連日のスモッグに加え、寒さ厳しい中国北部に暮らす人には、この上ない避難場所として注目されている。同自治州の首府景洪市では、昨年下半期に販売された住宅は7578戸で、取引が成立した面積は上半期と比べて52%増加した。相場価格は1平方メートル当たり8万円。一女性は「健康でなければお金を稼いでも意味がない」と。

2017年2月26日日曜日

(3217)ミャンマーの中国系工場を従業員が襲撃、中国大使館が現地当局に申し入れ

 2月24日のレコードチャイナ誌より。2月23日、ミャンマーの中国系企業でストライキ中の従業員による襲撃事件が起きた。被害にあったのはヤンゴンにある中国系の衣料品工場。23日午前ストライキ中の従業員が工場内に押し入り、複数の中国籍従業員の金品を奪うなどした。工場責任者の話によれば2百~3百人が襲撃に加わり、工場を占拠。現場にいた女性は、「工場の設備を破壊した後、中国人宿舎が襲われた」と自身も現金などを入れたスーツケースが奪われたと説明。ストの原因は元従業員の復職希望が聞き入れられなかったこと。この問題を受け、在ミャンマー中国大使館は、ミャンマー外交部やヤンゴン当局に、中国人の身の安全、中国企業の財産保全のための措置を直ちに講じるように要求、首謀者を厳正に処分してほしいと伝えた。ミャンマー側は、処理すると応じた。

2017年2月25日土曜日

(3216)マレーシアの船 ミャンマー西部に入港ラカイン州被災者支援

 2月24日のミャンマー‐ニュースより。昨年秋より、ミャンマー西部で発生している武力衝突で、被災したロヒンギャやラカイン州の人々を支援するため、支援物資を積載したマレーシアの船が2月21日、ラカイン州の州都シットウエに入港。この支援はマレーシアの非政府組織マレーシア・イスラム諮問評議会の主導により実施。支援物資は、食料品や衣料、医薬品など、合計5百㌧で1億2千万円相当だ。ラカイン州政府や、国際的な支援組織は、今回の支援を補助した。支援物資は25日頃をめどに、同州の190の村々と、シットウエやマウンド―の難民キャンプに送られる。また、バングラデシュ側のロヒンギャ難民の支援のため、同船はバングラデシュのチッタゴンに入港し、支援物資を荷卸し。ミャンマー政府は当初批判的だったが、ラカイン州当局が支援に応じて実現した。

2017年2月24日金曜日

(3215)建設省、道路・橋の通行料廃止を検討

 3月24日の共同ニュースより。ミャンマー建設省は、4月に始まる17年度から、全国の道路や橋の通行料廃止を検討中。現政府になった昨年、一部の有料道路料金所が廃止されていた。全国には現在1000カ所超の料金所があり、同省が州・管区政府や民間企業と共同で通行料を徴収。廃止方針について、省職員は「当局内で協議している段階で、省の承認を得る必要がある」と説明。通行料を廃止した場合の財源への影響などを慎重に検討している。道路料金所は数が多く、長距離を走る際は何度も通過する必要があり、手作業で時間もかかると不評だ。新政権発足直後の昨年4月、建設省所管の有料道路料金所161カ所を廃止して無料開放。内訳はサガイン管区39カ所、シャン州25カ所、マグウエー管区とイラワジ管区が各22カ所、マンダレー管区6カ所、ヤンゴン管区3か所。

2017年2月23日木曜日

(3214)ミャンマーの外国直接投資 今年度は60億ドルの見込み

 2月15日のミャンマーニュースより。ミャンマー投資・企業管理局(DICA)が発表した統計によると、今年度に入ってからの10カ月間で、同国に流入した外国直接投資が58億㌦を超えたという。同国情報省が2月14日に明らかにした。この10カ月間で最も多かった外国直接投資は輸送・通信部門が30億㌦、製造部門が10億㌦、不動産部門が7億㌦、電力部門が6億㌦、ホテル・観光部門が2億㌦、家畜・漁業部門が1億㌦、その他も1億㌦と続く。またミャンマーに投資している22の国のうち、最も投資額が多かったのはシンガポールで、続いてベトナム、中国、香港、タイとなっている。今年度に入って年間60億ドルの期待値は突破する見込み。ミャンマー投資委員会は、既存の法律に準じて環境、社会的影響、分野別開発などを精査した後にのみ投資提案を承認している。

2017年2月21日火曜日

(3213)内戦で荒廃の町 平和構築のモデルに旧敵同士が観光開発

 2月21日の産経Bizより。ミャンマー政府軍と少数民族勢力カレン民族同盟(KNU)の内戦が60年続いたカレン州の町が、観光地として脚光を浴びている。2012年の停戦合意後、旧敵同士が共に観光開発を進めてきた。にぎわい始めた町で、当事者たちは平和構築のモデルにしようと奮闘している。山道を車で進み標高1200mの山頂付近に差し掛かると、人口4千のタンダウンジーの町、キリスト教会を中心とし、住民の大半はカレンだ。住民は「内戦中は銃声が響き、生きるのに精いっぱい、今は平和になり収入も増えた」という。雲海を目当てにミャンマー人旅行者も増え、週末には百人の旅行者が訪れる。カレンでは1949年に内戦が勃発、政府軍の掃討でKNUは次第に劣勢となり、停戦に至った。ビルマ民族の政府職員も「両者が協力するとは、内戦中は想像外だった」と。

2017年2月20日月曜日

(3212)首都ネピドーのホテル、経営が困難に

 2月10日のミャンマーニュースより。ネピドー市内のホテルでは、宿泊者数が減少し、経営が困難になっていることが分かった。ホテル・観光省が旅行会社に対し、ネピドーをツアーのコースに含めるよう通達が出されていたが、実現していない。ネピドーホテルゾーン協会のタントゥ会長は、「宿泊客が非常に少ない、多くはNGOやその他の国際団体が会議やイベントを催す時に利用するくらいで、外国人旅行者や国内の利用者は5%ぐらいしかない」とコメントした。宿泊客が少ないため、人件費さえ賄えない状況にあるという(以上)。例えば、2月17日のミャンマーニュースは、ネピドーで第4回目のミャンマー人権対話会議が開催されたが、同対話会議の開催は、一昨年の2月に開催されて以来、2年ぶりとなる。その他の会議の開催も少なく、宿泊者の増大に苦慮している。

2017年2月19日日曜日

(3211)ミャンマー掃討終了

 2月16日の朝日新聞より。ミャンマー西部ラカイン州で政府軍と警察が続けてきたイスラム教徒ロヒンギャとみられる武装集団に対する掃討作戦が終了した。安全保障担当の政府顧問が15日、各国外交官に語った。作戦は、昨年10月に武装集団が警察署を襲撃して以降、続いてきたが、大統領府報道官によると今週終了した(以上)。他のミャンマーニュースによると、政府軍による掃討作戦の他、人々の往来制限も停止され、警察のみが地域の平和維持のために駐留しているという。ラカイン州の掃討作戦は、昨年10月9日、武装勢力が関与したと言われ、国境警備隊員9人が殺害された。今回の作戦によりロヒンギャ族6万9千人が軍隊の暴力により、隣国のバングラデシュに避難している。ミャンマー政府は、この掃討作戦は武装勢力に対する法的な運動によるものだとしている。

2017年2月18日土曜日

(3210)23年間の「負の遺産」大きい

 2月17日の朝日新聞記載のテインセイン前大統領の「軍政に幕を引いた」の記事について、工藤年博氏(政策研究大学院大学教授)が論評を発表していた。2003年スーチー氏ら一行が遊説の際暴徒に襲われ、軍政は国際社会から猛烈に非難された。批判を和らげようと発表したのが「民主化への工程表」だった。この「工程表」を実行したという意味では彼は軍の官僚だ。首相になって「国際社会と協調しないと生き残れない」と学び、改革派の素地を作った。昨年の政権交代が混乱なく進んだのは、スーチー氏が不満分子の「暴発」を抑えたからだ。中国などからの支援に支えられた軍政は23年続き、貧弱ながらインフラも整備し、全土でミャンマー語が通じるようになった。しかし「負の遺産」は大きい。高等教育は崩壊し、法体系も未整備だ。テインセイン氏が残した課題は大きい。

2017年2月17日金曜日

(3209)軍政に幕を引くテインセイン前大統領 民主化移行には経済の土台必要 

 2月17日の朝日より。ミャンマーで軍政に幕を引いた人物がいる。昨年3月、スーチー氏率いる野党に政権を明け渡したテインセイン前大統領だ。彼は内政と外交の両面で改革を進めた。何を考えていたのか、退任後初めて本人に聞く。「軍が長く統治することはよくない」「インフラが貧弱では民主化は達成できない」「まずインフラを整え、教育を立て直す」「そのため2003年に工程表7点を策定」「それに従い憲法策定、国民投票、総選挙策定、国会での大統領選出など」「タンシュエ氏からの影響は皆無だった」「スーチー氏は敵ではない」「海外からの投資は重要、日本に感謝」「中国の電力会社による大規模ダム工事に国民はイラワジ河を破壊すると感じていたので工事を凍結」「少数民族の武装組織がいて内戦が続く」「議会軍人枠はインドネシア同様変化が起きるかも」

2017年2月16日木曜日

(3208)逮捕の女、ベトナム旅券所持、逃亡のおとりか。残り数人追う,マレーシア

 2月15日の時事通信より。マレーシア警察は15日、北朝鮮の金正男氏殺害事件で容疑者とみられる女一人を逮捕した。警察は女がベトナムの旅券を所持していたと発表。ベルナマ通信は、女はミャンマー人だと伝えたが、続報は途絶えている。謎が深い事件は、東南アジアの国名が入り乱れる複雑な様相を呈しつつある。警察は殺害犯と伝えられた女2人組のうち1人をクアラルンプール国際空港の格安航空会社(LCC)用ターミナルで逮捕した。もう一人の女と男4人の行方を追っている。警察がその後「追っているのは数人だ」と人数をあいまいにした(以上)。このニュースは当初犯人の国名をミャンマーと報じたが、その後のニュースでは国名が消されており、単にベトナム旅券所持者とのみ表記されている。ミャンマー人犯人説は消え去ったものと思われ、なぜかホッとしている。

2017年2月15日水曜日

(3207)キリン、ミャンマー最古のビール醸造所を買収、現地シエア90%支配

 2月15日のミャンマーニュースより。キリンは2月11日、ミャンマーの大手ビール企業「マンダレー・ブルワリー」を買収することを発表した。買収金額は数億円とみられる。マンダレー・ブルワリーはマンダレーの北部に拠点を置くミャンマー最古のビール醸造所で、同国国軍系企業であるミャンマー・エコノミック・ホールディングスにより運営されていた。キリンは同社より事業を受け継ぐため、現地の子会社を設立する予定。報道によれば、ミャンマー投資委員会はこの取引を速やかに承認するとみられる。マンダレー・ブルワリーは市場シエア10%、2015年にキリンが買収したミャンマー・ブルワリーの市場シエアは80%。両社を傘下に置くことでキリンは90%のシエアを手中に収める。なおハイネケン(オランダ)や、カールスバーグ(デンマーク)が輸入されている。

2017年2月14日火曜日

(3206)滞るスーチー和平 軍制御できず少数民族反発

 2月14日の朝日より。スーチー国家顧問は12日、東部シャン州ピンロン(パンロン)であった連邦記念日の式典で演説し、政府軍と内戦状態にある少数民族武装勢力に対し、自らが進める和平協議への参加を訴えた。停滞する交渉を前進させたい思いがにじむが、北部で戦闘が激化する中、少数民族側が応じるかは不透明。この日は父アウンサン将軍が一つの国として独立する同意を取り付けたピンロン協定から70周年の記念日。武装勢力は国内に20組織あるが、協定を結んでいるのは8組織のみ。スーチー氏は「未署名の人たちにお願いしたい。自分を信じて、協議に加わってほしい」。しかし昨年8月カチン独立機構(KIO)と政府軍の戦闘が激化し停戦の見通しは立っていない。今の憲法では、軍は政府の指揮命令は受けない。少数民族側は「政府軍が先に停戦を宣言せよ」という。

2017年2月13日月曜日

(3205)ミャンマーの鉱山でまた土砂崩れ 9人死亡

 2月13日のミャンマーニュースより。ミャンマー北部のカチン州HPAKANTにある鉱山で2月9日夜、土砂崩れが発生、9人が死亡。地元当局者は11日、この土砂崩れによる死亡者は9人であったことを正式に発表した。この中の一人はこの鉱山の所有者であった。首都ネピドーから約640㎞北に位置するHPAKANTは世界でも最高品質と言われるヒスイの産地で、宝飾品の大部分は需要が高い中国へ輸出、または密輸されている。この地区は致命的な土砂崩れが多数発生しており、2011年の大事故では100人以上が死亡。2015年には大小合わせて200回以上の土砂崩れが発生、200人以上が死亡。2016年には50人が死亡。犠牲者は地元の貧困者や出稼ぎ労働者で、工業用掘削機で作業した後に残されたヒスイを夜な夜な探しているという。殆ど規制されていないのだ。

2017年2月12日日曜日

(3204)マレーシアからロヒンギャ族支援の船が入港、港では仏教徒が抗議

 2月11日のミャンマーニュースより。すでに(3202)で記したが2月9日、ロヒンギャ族への支援物資を積んだマレーシア船がヤンゴン港に到着した。港では数十人の仏教徒が「ノー・ロヒンギャ」と書かれた旗と国旗を振って入港に反対した。支援を主催した組織は、今回の支援活動は、ミャンマー政府を尊重しながら、約束通り行ったものだとしている。協力団体の関係者は、「私たちはミャンマー政府の主権を尊重する。誠実に支援物資を手渡したい」と語っていた。ヤンゴン港で抗議運動を起こした仏教徒たちは、ロヒンギャ族がミャンマーに存在していることを否定している。ロヒンギャ族はベンガル人であり、バングラデシュに存在するべき民族だと主張した。仏教徒のリーダーは「ベンガル人を助けるための支援物資ならば受け入れる。ミャンマーにロヒンギャ族はいない」。

2017年2月11日土曜日

(3203)東南アで排水処理事業、堀場と日立造船、ミャンマーに設備

 2月10日の日経より。堀場製作所と日立造船は共同で東南アジアの排水処理事業に参入する。堀場の検査装置と、日立造船のろ過装置を組み合わせた設備をミャンマーに導入した。経済発展に伴い廃棄物の発生が増えていることに対応し、高度な環境技術を生かし市場を開拓する。モノづくりに続き、廃棄物処理やリサイクルなど「静脈産業」の進出が東南アジアに広がってきた。両社はミャンマー中部のワンディン市の織物工場地域に、排水処理設備を導入。堀場の水質や汚濁物質を測る検査装置と、日立造船の特殊繊維を使った高速ろ過装置を組み合わせた。この地域は約630の染色工場があるが、排水処理はほとんどされていない。処理設備は同市の染色排水の5%に相当する1日5㌧に対応する。日本の環境省も助成している。経済発展に伴い東南アジアの水質汚濁が深刻化してきた。

2017年2月10日金曜日

(3202)ロヒンギャ支援のため、マレーシアの船はミャンマーへ

 2月9日のミャンマーニュースより。2月7日時点におけるマレーシアの報道によると、ミャンマー西部の小数民族であるロヒンギャらを支援するため、マレーシア船籍の船が2月4日にマレーシアのクラン港を出港し、ヤンゴンに向けて航行している。この支援活動は、マレーシア・イスラム組織諮問評議会の主導により実施され、同船にはマレーシアと諸外国のNGOのほか、医療チームや教育関係者など、12カ国のボランティアが乗船している。同日正午ごろミャンマー海軍の艦艇が接近し、同船の目的地について確認した。同艦艇の乗組員らは同船に乗り込んで確認することは無かった。同船は、食料や医薬品、衣服や毛布など2300トンの貨物を積載して航行中だ。同船は2月8日夜、または9日朝にはヤンゴン港に到着する予定で、その後、バングラデシュへと向かう予定だ。

2017年2月9日木曜日

(3201)「スーチー後継」剛腕ヤンゴン首長が存在感

 2月8日の日経より。ヤンゴン管区の首相を務めるピョーミンテイン氏は地方政府のトップとして外資の誘致や交通渋滞などの都市問題の解決に猛スピードで取り組む。その実行力からポストスーチーの筆頭格に浮上。ヤンゴンの道路には中小企業の民営バスが市民に足を提供してきた。その旧式バスが1月16日までに姿を消した。バスの台数も4千台から2千台に半減し、旧式の車体は一掃された。またヤンゴン管区の同首相は、2百棟以上の高層ビルの建築の適法性にメスを入れ始めた。さらにヤンゴンの路上物売り屋台を強制撤去。同首相は88年学生運動の指導者として政界に足を踏み入れ15年間獄中生活を強いられた。解放後の10年、NLDが大勝するとヤンゴン管区の首相に。現在ヤンゴン管区政府は、JICAの支援を得て40年までの都市インフラのマスタープランを作成中。

2017年2月8日水曜日

(3200)ミャンマー僧院から覚せい剤370万錠 僧侶3人逮捕

 2月7日の朝日新聞より。ラカイン州の仏教僧院などで覚せい剤の一種であるメタンフェタミンの錠剤約400万錠が押収され、僧侶3人が逮捕されたと7日、国営紙などが報じた。同国では国境地帯や近隣国で生産された錠剤が違法に流通し、社会問題になっているが、僧が検挙されるのは異例だ。警察などによると、5日夕、バングラデシュ国境に近いマウンド―の検問所で2人の僧が乗った車から錠剤約40万条が見つかった。その後二人が所属する近郊の僧院を捜索したところ、約370万錠を発見した。警察はこの二人と僧院の別の僧を逮捕。末端価格は約8億円に上るという。マウンド―はイスラム教徒ロヒンギャが住民の多数を占め、昨年10月以降、治安部隊による人権侵害報告が相次ぐ地域。一方で薬物の大量押収も続いており、周辺国などへの密輸の中継地と見られている。

2017年2月7日火曜日

(3199)スーチー氏沈黙続く 党法律顧問殺害1週間

 2月6日の日経新聞より。NLDの法律顧問でイスラム教徒のコーニー氏が殺害されてから1週間。スーチー氏が事実上の国家主席になるのに大きな役割を果たした人物だが、スーチー氏が事件に関し沈黙を続けていることに波紋が広がっている。国軍の統制下にある警察の捜査を主導できないとして、昨年発足したNLD政権の限界も指摘される。拘束された容疑者の男は、カラー(イスラム教徒への別称)を1人殺せば車を買う金をやる」と言われたという。コーニー氏の政治活動は、保守派仏教徒から攻撃されていた。これに対しスーチー氏は一切発言しないままだ。コーニー氏は国家顧問職を新設する法律の制定を主導した功労者である。この功労者に対するスーチー氏の冷淡な対応には国内にくすぶる反イスラム感情を刺激することを避けようとするスーチー氏の政治的打算が垣間見える。

2017年2月6日月曜日

(3198)ロヒンギャへの人権侵害は深刻、ミャンマーで国連が調査

 2月4日のNHKニュースより。ミャンマーの人権状況について調べている国連の調査団は、ロヒンギャ人が兵士などによる無差別の殺人や、性的暴行などの被害を受けているとする報告書をまとめ、国際社会が連携してミャンマー政府に働きかけ、直ちにこうした人権侵害をやめさせるべきだと訴えた。特に去年10月にロヒンギャ武装勢力が、軍や警察を襲撃した後、当局が治安回復作戦を進めているラカイン州の人権状況を調査してきた。国連は当初現地での調査を希望してきたが、ミャンマー側が許可せず、やむを得ずバングラデシュ側から調査した。国連の人権高等弁務官は「殺人や性的暴行を治安回復作戦と呼べるのか」と非難。ミャンマー政府側は「副大統領が率いる調査委員会が独自の調査を進めもし暴行の証拠が見つかれば必要な措置を取る」と従来と異なる姿勢を発表した。

2017年2月5日日曜日

(3197)鈴の音響く仏塔遺跡突風の傷修復へ シャン州

 2月4日の日経新聞より。シャン州の農村を抜けると、突然、高さ約10メートルの無数の仏塔が姿を現した。その数2500。密集して並ぶ様は壮観で、「カックー遺跡」は観光客に人気上昇の名所になっている。ただよく見ると多くの仏塔の先端が欠けているのに気づく。経年劣化に基づくのではなさそうだ。伝説ではカックー遺跡は、紀元前3世紀に初めて仏塔が作られ、12世紀のパガン王朝時代に周囲の住民が世帯ごとに1つの塔を寄進して急増し群をなしたという。ところが2016年4月、突風が襲い、約900の仏塔が損壊し、前例のない被害を受けた。遺跡内に素足で歩いた。歩を進めると、静寂の中、「シャリーン」と澄んだ音が響き渡った。全部修復するには2億5千万円必要だが、まだ1700万円しか集まらない。まだ不十分。将来全部修復されたらどんな音を奏でるのだろうか。

2017年2月4日土曜日

(3196)ロヒンギャへの人権侵害問題 国連「数百人死亡の可能性」

 2月4日の朝日より。ラカイン州でイスラム教徒ロヒンギャに対する人権侵害の報告が相次いでいる問題で、国連人権高等弁務官事務所は3日、昨年11月から続く治安部隊による掃討作戦で、数百人のロヒンギャ住民が死亡した可能性が高いとする報告書を発表した。バングラデシュに逃れた住民ら204人に聞き取り調査し、報告書にまとめた。ミャンマー政府は、組織的な人権侵害を否定しているが、国際社会の批判がさらに高まりそうだ。昨年10月、ロヒンギャとみられる武装集団が警察を襲撃。治安部隊が掃討を進めている。今回の報告では、101人の女性の半数が治安部隊による性的暴行などの被害を訴えた。報告書によると、6万6千人がバングラデシュに逃れ、2万2千人がミャンマー国内で避難民に。

2017年2月3日金曜日

(3195)難民認定地方入管でも判断へ 審査時間の短縮図る

 2月2日の朝日より。法務省は今まで本省で一括判断してきた難民認定の申請について、全国8カ所の地方入国管理局でも判断を可能にする。昨年1年間の申請者数は初めて1万人を超える見通しだ。「借金取りから逃げてきた」など、明らかに難民に当たらない理由での申請は、地方の入管局で不認定とし審査時間の短縮化を図るという。同省の規則では法相だけが判断するとされていたが申請が増え続け、1件にかかる審査期間も長期化。昨年1~3月に平均5.8か月だったのが7~9月は10.1か月に長期化している。同省によると昨年1月から9月までに難民と認定したのは6人。「紛争から逃れてきた」などの理由での申請に対し人道的な配慮で在留を認めた人は56人。見直し案については6月から実施する予定。

2017年2月2日木曜日

(3194)世界銀行 ミャンマーの経済成長予測を発表

 2月1日のミャンマーニュースより。世界銀行は1月30日、2016年度におけるミャンマーの経済成長率を6.5%と予測。昨年度の経済成長率7.3%と比較すると低下する形となるが、その要因として、昨年の洪水が影響している。また同行は同国における向こう3年間の経済成長率を平均7.1%と予測している。その背景としては、インフレ率の低下により、個人消費や企業の設備投資が増加するほか、インフラ整備などの公共投資が拡大すると予測したため。しかし、同行によると、経済成長率が伸び悩む可能性も否定できない。その要因として、世界市場との競合による輸出の伸び悩み、エネルギー資源など商品価格の上昇、洪水などの異常気象がある。特に同国内における雇用の確保が最も重要と説明。

2017年2月1日水曜日

(3193)アジア開銀、ミャンマー交通を一括整備、 政策など助言

   2月1日の日経新聞電子版より。アジア開発銀行(ADB)はミャンマーで民間の資金を使ったPPP「官民パートナーシップ」方式による交通インフラ整備を推進する。ADBは1日にネピドーで同国政府と運輸分野でのPPP事業に関する「戦略・事業アドバイザー」契約の調印式を開く。今後PPP方式での交通インフラ整備はADBが全面的に助言する。一つの国の運輸分野を丸ごと引き受けるのは初めてだ。ミャンマー政府に省庁横断のPPPの窓口を設立するよう働きかける。ADBはヤンゴンでの都市鉄道や、ティラワ工業団地周辺の交通網、タイ国境に近いダウエーの港湾、国を縦断するエヤワディ川の河川交通の整備等から手掛ける。ミャンマーで手掛けるインフラ事業は50件5兆円が考えられている。