(2010年2月16日)
いま私は会田雄次さんが書いた「アーロン収容所」を読んでいる。会田雄次さんといえば日本を代表する知識人、私より12歳年上、京都帝大卒業後昭和18年27歳のときに応召、ビルマ戦線に送られ、戦後2年間英印軍の捕虜としてラングーン郊外のアーロン収容所に抑留された。その間の捕虜生活の実態を軽快なタッチで平易に紹介しており、とても面白く読めた。しかし読み終わってみると実はこの小説はイギリスという国への文明論ではないかと感じた。そして同時に捕虜である日本人自身を語る日本人論でもあるような気がした。著者自身は、英軍さらには英国というものに対する燃えるような反感や憎悪を抱いて帰ってきたという。当時の西欧ヒューマニズムに対する日本人の常識を根底から揺さぶり、西欧観の再出発を余儀なくさせた名著である。中央公論社(中公文庫)、昭和48年初版発行、245頁、240円。
名著「アーロン収容所」は、小生、未読であるけど、著者の実体験に基ついた描写・表現・考え方等は、訴求力があるでしょうな。
返信削除概要のご紹介に、感謝!
K.A.
k.a.さん
返信削除こういう著名な知識人が戦争に借り出され、捕虜になるということ自体が「戦争」への悲しさ、虚しさを表していますね。(N)