2011年10月3日月曜日

(1238)読みました 「ビルマの鳥の木」

   著者は多田富雄氏(東大医学部名誉教授、文化功労者)、平成10年6月 新潮社発行(新潮文庫)、269頁、438円+税。世界的な免疫学者である著者が、旅、学問、芸術、そして人々とのふれあいを通じて、「感動」を発見していく。香り高き38章に亘るエッセイ集で、本の題名になった「ビルマの鳥の木」はその中の13頁にわたる一つの章。おそらく著者の代表作を全体の題名にしたのであろう。著者は伝染病対策の研究協力でヤンゴンに来たが、宿舎のインヤーレークホテルの前に白い幹の大木があり、その奥には黒々とした森が広がっていた。毎日夕方5時を回ったころ、どこからともなくカラスのような黒い鳥の大群がこれらの木々止まり、30分も鳴いたかと思うと瞬間的に飛び去る。著者はこの現象を眺めながら、強烈な生命の営みに隠れている死についていろいろ考えた。面白くきれいなエッセイだ。

2 件のコメント:

  1. 読まれましたか^^

    題名に引かれてすぐに手に取ってしまったものですが、ビルマについての記述は一部なんですよね…

    でも、大木に小鳥たちがたくさん止まっているありさまは、ビルマらしいですし。。。ビルマに行ったことがある人は、「ああ、あれあれ」と思い出すような場面ですよね。

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  2. stさん
    残念ながら私はビルマでは経験してません。でも近くの津田沼駅では度々経験します。駅前に小公園があり、そこに植わっている木々に夕方すごい数の黒い鳥がギャアギャア鳴きながら集まってきます。おそらく何千羽でしょう。ツグミだという人がいますが、分かりません。何しろ壮観です。そういえば何となくビルマらしい光景です。(N)

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