2012年10月3日水曜日

(1604)読了125冊目:「真実のインパール」

  副題は「印度ビルマ作戦従軍記」、著者は平久保正男(元陸軍主計中尉)、2006年6月・光人社発行、285頁、1800円+税。インパール作戦の記録は、多くの著書に記されているが、この本の内容は他書とだいぶ違っている。これは著者が主計将校であり、主に糧食や住居、医療品などを多くの兵士に分配する仕事であり、それらの作業を中心に描かれている。日本軍はインパールそばのコヒマまで攻め込み、英印軍の糧秣を奪取したが、結局は敗退することとなった。このように兵站面から書かれた著書は珍しく、主計部隊の苦労がよく理解できる。また、英印軍の捕虜となった後は通訳として苦労を重ねた。なお、現地ビルマ人による住居の提供や、食料供出など、敗残日本兵への協力ぶりには頭が下がる。主計将校から見た「真実のインパール」作戦といえる。

2 件のコメント:

  1. なるほど、兵站面からの戦記とは珍しい。折にふれて読み継がれることでしょう。
    K.A.

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  2. K.A,さん
    日本軍は、ビルマの要所要所に物資を蓄積する倉庫用の建物を確保し、敗走してくる日本兵に塩や衣服を与えていたようです。その管理が主計で、主計は主計なりに頑張っていたようです。(N)

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