2012年9月6日木曜日

(1577)読了118冊目:「ビルマとミャンマーのあいだ」

 副題は「微笑みの国と軍事政権」、著者は瀬川正仁(映像ジャーナリスト)、2007年10月・凱風社発行、 269頁、2000円+税。内容は旅行記だが、その土地土地にまつわる歴史・故事を贅沢に詰め込んだ歯切れの良いエッセイ集だ。紹介してる都市・地方は、ラングーン(黄金の寺院とリサイクルの町)、中央ビルマ、バガン・インレー湖(現世と来世)、モンとカレン(マイノリティの苦闘)、シャン州(麻薬ロード)、カチン州・イラワジ川紀行、チン州(古のアジア)、アラカン州(少数民族の現実)と続く。現在ビルマの人口の4割は非ビルマ民族という多民族国家であり、長年にわたり多くの民族が争い、しのぎを削ってきた。表面的には微笑みの国だが、深く付き合えば軍事政権による非情な同化政策がかいま見えてくる。写真も豊富で、日本人に「民族」を教えてくれる良書。

2 件のコメント:

  1. 4割が非ビルマ民族とは、驚き!
    単一民族である我々にとって、教わることが多々ありそうですな。
    K.A.

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  2. K.A.さん
    日本の場合、アイヌ民族と琉球民族がいますが、ピンときませんね。民族間の融和を求めるのか、民族としての自立を求めるのか、なかなか難しい問題だと思います。(N)

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