2012年9月23日日曜日

(1594)読了122冊目:「迷路の旅」

  著者はセインセイン、訳者は大野徹、1985年8月・井村文化事業社発行・勁草書房発売、東南アジアブックス・ビルマの文学№10、337頁、2200円。この作品は44歳で死去した女性作家(1928年~1972年)の死去2年前までの自伝である。著者は幼児期から鈍感な女性であったが、読書が大好きで努力して小・中学校で学び、文学への道を目指していた。その間、不幸にも当時不治の病といわれたハンセン氏病にかかり、世間から排斥された。過酷な闘病生活を続け、その間不法診療所で騙されるなど悲惨な目に合う。しかし家族の力添えもあり、特効薬で完全に治癒、いくつかの懸賞金付き文学賞を得て文学界に頭角を現した。このような自伝を書くには勇気が必要で、普通の人には書けないテーマであろう。幸せとか、不幸せとか思う人に薦めたい良書だ。

2 件のコメント:

  1. もっと長生きして、もっと多くの自伝を残してほしかったですな。
    K.A.

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  2. K.A,さん
    私は「自伝」ではないが「自分史」を書いたことがある。どうしても自分のPR的な編集になってしまう。この点、作者は自分のいやな、恥辱と思われることを綴っている。大変な勇気の持ち主だ。(N)

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