2013年7月24日水曜日

(1898)読了185冊目:「ニンジアンエ」

  著者は古処誠二、2011年11月・集英社発行、289頁、1800円+税、題名の「ニンジアンエ」は、ビルマ語で「宣撫」の意味。主人公の美濃部は昭和18年にビルマ入りして、日本軍に同行する従軍記者で、宣撫班に所属した。この宣撫班は地元の住民と仲良くすることが目的であり、紙芝居などを活用した。たまたま前線では、英国のウインゲート旅団の活動が始まった時期であり、幸先よく英軍の中尉を捕虜とした。この中尉は英国軍の勝利を信じ、日本軍兵士に不遜な態度を示し続けた。この中尉を中心に、戦友を殺された日本軍下士官、ビルマ人通訳、そしてビルマ人人質、部落民、それぞれがそれぞれの立場で自己主張を続ける。美濃部は「戦争の真実」を突き付けられ悩む。戦記物としては新しい切り口だ。なお「ニンジアンエ」の説明は最後までなかった。

2 件のコメント:

  1. 宣撫班といえば、日支事変の中国大陸での活動を思い出しますな。
    「ニンジアンエ」の場合、誇り高き英将校を交え、しかも敗戦間近かという状況下、主人公には大へんな重圧でしたな。
    K.A.

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  2. K.A.さん
    その通りです。一時はどちらが「捕虜」か分からない状況に。「戦争」はどう見てもやってはダメです。よくないです。

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