2012年4月1日日曜日
(1419)読了96冊目:「死の靖国街道」
副題は「43年後のビルマ戦記」、浜田芳久著、1998年7月・現代企画室発行、315頁、定価1854円。著者は1919年生、東大卒、主計中尉。ビルマでの戦いを、「インパール作戦」と、戦争末期の「断、盤、完作戦」とに分けて、当時の死闘の状況を広く詳細に回顧している。何も状況を理解できない立場の大勢の兵士を徒に死に追いやった軍の幹部の傲慢さに身震いを感じる。特に牟田口司令官(中将)の無謀な命令・指揮によって日本軍は完敗し、多くの犠牲者を出した。同司令官は第一線の三師団長を相次いで解任し、その中の佐藤師団長が発した退却命令(抗命)の状況もよく描かれている。インパール作戦以外の、「断、盤、完作戦」でも敗退中の日本軍が、反撃のための陣地の再構築を狙ったが何れも失敗した。なお「靖国街道」は「白骨街道」と同意語。
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主計将校から見た敗戦の実態を、どうしても書き残したかったのですな。読者は、恐らく悲憤慷慨することでしょう。
返信削除k.a.さん
返信削除主計将校なので最前線には出ないで、後方の軍本部にいるため、広く情報が入るのでしょう。それと当時の日本軍は県ごとに編成しているので、戦後も帰還兵同士の会合が多く情報を集めるのが比較的簡単だったのでしょう。「上官の命令は朕の命令」という思想をだれも疑わなかった時代です。