「副題はビルマの河に生きる男たち」、ルドゥウーフㇻ著、河東田静雄訳、1986年6月・新宿書房発行、209頁、2000円。時はイギリス植民地体制下のビルマ、サルウィン河の渦巻く激流を小舟で遡り、命綱一本で川に飛び込み、上流から流されたチークの丸太を拾う筏乗りの物語。命知らずで勇猛かつ度胸のすわった男たちが集まり、命がけで丸太を拾う筏乗りたち、一方、チーク材の搬送という利権を巡って蠢く役人たちの醜い政治習慣も浮き彫りにされる。ビルマを代表する作家が、民衆の視点から社会の底辺にありながら力強く、誇り高く生きる人々の姿を描いている。一方ともすれば理想化されて語られる独立運動の闘いが、大衆への裏切りとして描かれている。それは大衆からの国家体制への隠れた告発文学ともいえよう。読み応えのある ミャンマー作品だ。
2014年1月29日水曜日
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なかなか面白そう。でも、独立運動の戦いが、大衆への裏切り行為とは、どういうことかしら?
返信削除K.A.
K.A.さん
返信削除「独立運動家による汚職」という視点、でも彼らも生きるために汚職をせざるを得ないという環境も念頭に。